北朝鮮から軍靴の音を聞きとれない怖さ

前のエントリーから続く。 朝日新聞はじめマスコミは反体制の振りをしているけれど、その本性は体制派だ、という話。思い当たる節がある。北朝鮮のミサイル発射に対する政府の強硬姿勢。これについては全ての新聞がほぼ同じ論調で、積極的か消極的かの違いは…

小沢一郎政権奪取論

90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論 あとがきにもあるが、この本は90年代日本政治についての「小沢史観」である。 そういう前提で読んでも、自民党離党から細川政権、自由党での自自公連立、そして民主党へと、その道程への回想は政治のエネルギーというもの…

追想:イタリア青年とキャンディキャンディを歌う

ネットに押されて伸び悩んでいるようだけど、相変わらず海外で日本アニメの人気は高いようだ。 日本のアニメーションが他国のものとは区別され、ひとつのジャンルとして確固たる地位を築きはじめてからほぼ10年。やっと不動のものとして認知された感がある。…

読み解かせる漫画「Death Note」

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス) この衝撃は、いつ以来だろう。 学生時代以来ひさびさに漫画を読んで、完全に打ち抜かれた。本当に面白かった。いまどきの漫画はどれもこんなに面白いのかな? 最近の他の漫画をほとんど読んでないので分からなかった…

鏡の法則:心理学の話らしい

いろんなブログで話題になってるので、元ネタらしいこちらで読んでみた。(そもそもの元ネタは出版されている書籍らしいけど・・)なんかコメント欄がすごいことになってる。 あらすじは簡単で、まず子供とのコミュニケーションに悩む母親Aがいた。実はその…

宮本浩次の原初の叫びを聞いた

町を見下ろす丘 洋、邦問わず、ロックをすっかり聞かなくなった。でもエレファントカシマシだけは聞き続けていて、今日はコンサートに行ってきた。僕にとってこのバンドの音楽とは、95%以上がそのボーカリストの声、だ。なので厳密に言えば、僕はコンサート…

広瀬弘忠「無防備な日本人」

無防備な日本人 (ちくま新書) 日本は本格的にリスク受容型社会へと移行している。その中で生き延びるのは、自己のサバイバルの追及を最重視し、すべての価値を相対視して、状況に応じて大胆に自己の変身を遂げられるタイプの人間――「プロテウス的人間」であ…

村上龍・伊藤穣一「『個』を見つめるダイアローグ」

「個」を見つめるダイアローグ 対話形式でどんどん話が進むからだろうか、それとも両氏があまりにも僕から遠いところにいるからだろうか。3人でいるのに2人だけがひたすら喋ってる、そんな感覚を強く持つ本だった。全体としてのトーンは、題名のとおり「個」…

平野啓一郎「顔のない裸体たち」

顔のない裸体たち 「若き文豪」によるエロ小説、もとい過激な描写を含む小説。特におすすめしません。 この描写が文字通り過激、激し過ぎる。そのせいでいちいち頭(と下半身が)余計に反応して、著者があちこちで表明している「この本の趣旨」=ネット社会…

妻、実家へ帰る。

翌月末の出産予定に向けて、この週末に妻が実家へ帰った。 この数ヶ月ほどでいろいろな出産関連の知識を得た。僕にとって驚きであったのは、例えば8ヶ月目の妻の体は、それ以前の時期に雑誌で見た「8ヶ月目のAさん」の様子とほとんど同じであって、「○ヶ月を…

がんばれ日本チーム!

もうすぐブラジル戦が始まる。ここまでの試合で感じたことを書いておこうと思う。僕の思い込みかも知れないが、日本チームの戦う姿は涙ぐましい。それは、「小さいものが大きいもののように気高く振舞って、力及ばず無残に負けていく」というように僕には見…

社会を動かすのは人で、その人を動かすのも人

昨日、光市事件の最高裁判断が出たことで、被害家族の方のインタビューを見た。この人は社会を変えた。彼のモチベーションは、被害家族としての悔しい思いに加えて、最初の地裁での裁判後に意気消沈してもう上告もあきらめかけていたとき、担当の検事が涙な…

ワイドショー流の憂鬱

NHK懇談会の最終報告が出たことで、その無内容さへの批判がなされている。 池田信夫blog:【デジタル時代を拒否するNHK】 ながら族:【 久しぶりにNHKネタ 】 確かにこの報告書では、NHKへの信頼の低下に対する危機感から設立された懇談会として、その…

最後の土

会社のビルのとなりが、なんの変哲もない砂利の空き地になった。ここでは去年の秋には稲刈りが行われていて、この5月までは菜の花が一面に咲いていた。

小林秀雄「考えるヒント」

学生のころ読んだと思われるこの本をふと読み返して、あらためて小林秀雄は偉大な人だと思った。誠実で力強く、粘り強くときに激しい。いくぶん気楽に書いたと思われる本書掲載の散文では、読み手を慰撫するようなユーモアや洒脱なアイロニーの表現がふんだ…

心に月を想うこと

(フォトライフから拝借) 目を閉じて青く光る月を心に浮かべるだけで、気持ちはごくシンプルに細くなり、次第に悲しみめいたものに覆われるのは何故だろう。 月は青くは光らない。それはプルキニエ効果という物理現象によって、弱い光のもとで周囲の空気が…

インサイダー取引が今現在は犯罪、という事実

池田信夫blogはコメント欄での議論も興味深く、いつも見て勉強させてもらってる。インサイダー取引に関する池田氏のエントリーから、その主張をコメント部分の議論も含めて僕なりに整理すると、以下のとおりだ。一言で言うと「犯罪性すらあいまいなのに強い…

見たくない女性の下着、あるいは背中パンツ

セクハラ:相手の意志に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為を指す。(wikipedia) 昼休みはきっかり1時間とって、近所の喫茶でスパゲティを食べながら本を読むことにしている。ここの店員が目が大きくて愛想がよく、お気に入りだ。しかし今日…

LOHAS

こういう言葉が出てくるたびに陰鬱な気持ちになる。網の下をはいつくばって通り抜けようとしている障害物競走の1シーンが目に浮かんできて、その網はマスコミと広告代理店である。こういう時にこれら業界に就職した大学の同期の連中と会うと、無意味に暴言…

泣ける結婚式のビデオ演出

←(今日の7時過ぎの空の様子) 映画でもドラマでも小説でも、はては喧嘩中の嫁さんの一人芝居でも、泣かす意図まる出しで作られた演出にまんまとはまるのは悔しいものだ。でも、昨日の友人の結婚式で流された映像には、泣かされた。 これから結婚式あげる人…

白洲次郎関連

白洲次郎 占領を背負った男 プリンシプルのない日本 (新潮文庫) NHKで伝記番組の放映があって以来、随分注目されている白洲次郎。僕は番組を見てなかったので、ある日本屋にずらっと並んでるのを見て本を手に取ったくち。評伝と直言集の2冊を読んだ。終戦直…

柄谷行人「世界共和国へ」

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書) 本を読むたびにここに感想を綴ろうと思いながら、すでにバックログが4冊。でも一番最近読んだ本書が面白かったので、新鮮なうちに思ったことを書いてみる。「なんだよまたサヨクっぽい理想論かよ〜」…

「行き方」と「在り方」

最近、たまたま連続して戦後初期のころの文章を読んだ。小林秀雄と山本七平と寺田寅彦と白洲次郎のものなんだけど、共通して「行き方」という表現がよく使われている。意味は「進み方」「やり方」「考え方」といったところ。 これってなんだかかっこいい。

ジャワ島:災害と社会

今日の産経Webの記事は印象的だった。 工場労働者のジュミナンさん(55)は「私たちが悪行を繰り返すからアッラーの神が怒ったのだ」と答えた。こうした考え方はイスラム教徒の被災者に共通しており、政府に責任を押しつける意見はなかった。 ただし、ジュ…

J-WAVEでFMネット配信が開始

BrandnewJが始まったので聞いてみている。が・・ ぶちぶち切れすぎでどうしようもない。開始に伴う過渡的現象だったらいいのだけど。 うちはマンションで電波がうまく拾えず、これまで地元のFMを聞くことはできなかったので、このサービスには期待している…

ジャワ島被災の悪循環

今朝の読売新聞朝刊に、京大河田先生の重要な指摘があった。Web上で見つからないので転載。 2006年5月29日読売新聞14版2面 「災害が国力を低下させ、危険性の高い町が再びできてしまうため、次の災害でまた大打撃を受けるという悪循環から抜け出せない。」と…

ジャワ島で大地震が起こった

また多くの人が亡くなり、生き延びた人々には長く辛い時間が始まった。そしていつものように、僕の周りは平穏無事だ。神戸の地震のとき、隣の大阪がそうであったように。 僕は神戸近くで被災して生きながらえた。その数日後、大阪の梅田駅でバックパックをか…

マスコミへの不信感

高校の授業科目に「読書」というのがあり、1学期のあいだ図書室の本を使ってなんでもいいからあるテーマについて論ぜよ、という課題がでた。今思えばえらく適当な授業だった。 さておき、そこで何の気なく手にしたのが西部邁著「マスコミ亡国論―日本はなぜ“…

速記力を問う国家試験とは

今日会社で目標設定面談があって、上司から8月の資格試験たのむよ、とまた言われた。 うちの会社は(というか僕は)官公庁から防災関連の調査を受託しているわけだが、当然公募や企画コンペで他社と競争することになる。で、提案内容と同等かそれ以上に重視…

「国家の品格」再

一読して終盤に近づくにつれ鼻白んだが、たしかになにやらいい気分にはなった。しかしどうも腑に落ちない、のどに小骨がささったような違和感がある。 頭の回転が鈍いので、あらためて著者がいいたいことをまとめてみると分かった。かなり乱暴である。 世界…