小沢一郎政権奪取論

あとがきにもあるが、この本は90年代日本政治についての「小沢史観」である。
そういう前提で読んでも、自民党離党から細川政権自由党での自自公連立、そして民主党へと、その道程への回想は政治のエネルギーというものを見せ付けてくれて、面白く読めた。


僕はこの政治家の考え方に納得するところも疑問を持つところもあるけれど、以下の言葉については特に考えさせられた。

マスコミはいつまでも「55年体制」なんだ。朝日新聞の縮尺版を見たらわかるけど、僕のやることなすこと、もう徹底的に批判ばかりだ。要するにマスコミは体制派なんですよ。だから国を誤るんです。
・・・・・・僕の言う体制派とは、旧体制派、戦後体制堅持派ということです。日本的コンセンサス社会、官僚による規制社会と言ってもいいけれど、官僚主義、談合主義の旧来の仕組みが、本当にもう持たなくなった。僕らに壊されそうだとなったら、マスコミは必死になって既存体制を維持する側に回ります。
(P.156-7)

どこかの番組で、宮崎哲弥が同じことを言っていた。「朝日新聞はじめマスコミは反体制の振りをしているけれど、その本性は体制派だ」これはどういうことだろう。僕の、というか一般的な認識とは違う。産経や読売はいいとして、朝日までが、既存体制を維持することを前提とした表層的な政府批判をしているということか。朝日を読まないんで実感がわかない。

究極的に既存体制を維持する側に回るのであれば、それは既存の意思決定機構を維持するということである。ということは、平穏時ならいざしらずいざ国が岐路=crisisに立ったときには、結局は時の政府の決定を追認するしか能がない、というのだろうか。

次のエントリーに続く。