2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

村上龍・伊藤穣一「『個』を見つめるダイアローグ」

「個」を見つめるダイアローグ 対話形式でどんどん話が進むからだろうか、それとも両氏があまりにも僕から遠いところにいるからだろうか。3人でいるのに2人だけがひたすら喋ってる、そんな感覚を強く持つ本だった。全体としてのトーンは、題名のとおり「個」…

平野啓一郎「顔のない裸体たち」

顔のない裸体たち 「若き文豪」によるエロ小説、もとい過激な描写を含む小説。特におすすめしません。 この描写が文字通り過激、激し過ぎる。そのせいでいちいち頭(と下半身が)余計に反応して、著者があちこちで表明している「この本の趣旨」=ネット社会…

妻、実家へ帰る。

翌月末の出産予定に向けて、この週末に妻が実家へ帰った。 この数ヶ月ほどでいろいろな出産関連の知識を得た。僕にとって驚きであったのは、例えば8ヶ月目の妻の体は、それ以前の時期に雑誌で見た「8ヶ月目のAさん」の様子とほとんど同じであって、「○ヶ月を…

がんばれ日本チーム!

もうすぐブラジル戦が始まる。ここまでの試合で感じたことを書いておこうと思う。僕の思い込みかも知れないが、日本チームの戦う姿は涙ぐましい。それは、「小さいものが大きいもののように気高く振舞って、力及ばず無残に負けていく」というように僕には見…

社会を動かすのは人で、その人を動かすのも人

昨日、光市事件の最高裁判断が出たことで、被害家族の方のインタビューを見た。この人は社会を変えた。彼のモチベーションは、被害家族としての悔しい思いに加えて、最初の地裁での裁判後に意気消沈してもう上告もあきらめかけていたとき、担当の検事が涙な…

ワイドショー流の憂鬱

NHK懇談会の最終報告が出たことで、その無内容さへの批判がなされている。 池田信夫blog:【デジタル時代を拒否するNHK】 ながら族:【 久しぶりにNHKネタ 】 確かにこの報告書では、NHKへの信頼の低下に対する危機感から設立された懇談会として、その…

最後の土

会社のビルのとなりが、なんの変哲もない砂利の空き地になった。ここでは去年の秋には稲刈りが行われていて、この5月までは菜の花が一面に咲いていた。

小林秀雄「考えるヒント」

学生のころ読んだと思われるこの本をふと読み返して、あらためて小林秀雄は偉大な人だと思った。誠実で力強く、粘り強くときに激しい。いくぶん気楽に書いたと思われる本書掲載の散文では、読み手を慰撫するようなユーモアや洒脱なアイロニーの表現がふんだ…

心に月を想うこと

(フォトライフから拝借) 目を閉じて青く光る月を心に浮かべるだけで、気持ちはごくシンプルに細くなり、次第に悲しみめいたものに覆われるのは何故だろう。 月は青くは光らない。それはプルキニエ効果という物理現象によって、弱い光のもとで周囲の空気が…

インサイダー取引が今現在は犯罪、という事実

池田信夫blogはコメント欄での議論も興味深く、いつも見て勉強させてもらってる。インサイダー取引に関する池田氏のエントリーから、その主張をコメント部分の議論も含めて僕なりに整理すると、以下のとおりだ。一言で言うと「犯罪性すらあいまいなのに強い…

見たくない女性の下着、あるいは背中パンツ

セクハラ:相手の意志に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為を指す。(wikipedia) 昼休みはきっかり1時間とって、近所の喫茶でスパゲティを食べながら本を読むことにしている。ここの店員が目が大きくて愛想がよく、お気に入りだ。しかし今日…

LOHAS

こういう言葉が出てくるたびに陰鬱な気持ちになる。網の下をはいつくばって通り抜けようとしている障害物競走の1シーンが目に浮かんできて、その網はマスコミと広告代理店である。こういう時にこれら業界に就職した大学の同期の連中と会うと、無意味に暴言…

泣ける結婚式のビデオ演出

←(今日の7時過ぎの空の様子) 映画でもドラマでも小説でも、はては喧嘩中の嫁さんの一人芝居でも、泣かす意図まる出しで作られた演出にまんまとはまるのは悔しいものだ。でも、昨日の友人の結婚式で流された映像には、泣かされた。 これから結婚式あげる人…

白洲次郎関連

白洲次郎 占領を背負った男 プリンシプルのない日本 (新潮文庫) NHKで伝記番組の放映があって以来、随分注目されている白洲次郎。僕は番組を見てなかったので、ある日本屋にずらっと並んでるのを見て本を手に取ったくち。評伝と直言集の2冊を読んだ。終戦直…

柄谷行人「世界共和国へ」

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書) 本を読むたびにここに感想を綴ろうと思いながら、すでにバックログが4冊。でも一番最近読んだ本書が面白かったので、新鮮なうちに思ったことを書いてみる。「なんだよまたサヨクっぽい理想論かよ〜」…

「行き方」と「在り方」

最近、たまたま連続して戦後初期のころの文章を読んだ。小林秀雄と山本七平と寺田寅彦と白洲次郎のものなんだけど、共通して「行き方」という表現がよく使われている。意味は「進み方」「やり方」「考え方」といったところ。 これってなんだかかっこいい。

ジャワ島:災害と社会

今日の産経Webの記事は印象的だった。 工場労働者のジュミナンさん(55)は「私たちが悪行を繰り返すからアッラーの神が怒ったのだ」と答えた。こうした考え方はイスラム教徒の被災者に共通しており、政府に責任を押しつける意見はなかった。 ただし、ジュ…